(5) モニタリング
モニタリングとは、内部統制が有効に機能していることを継続的に評価するプロセスをいう。モニタリングにより、内部統制は常に監視、評価及び是正されることになる。モニタリングには、業務に組み込まれて行われる日常的モニタリング及び業務から独立した視点から実施される独立的評価がある。両者は個別に又は組み合わせて行われる場合がある。
① 日常的モニタリング
日常的モニタリングは、通常の業務に組み込まれた一連の手続を実施することで、内部統制の有効性を継続的に検討・評価することをいう。業務活動を遂行する部門内で実施される内部統制の自己点検ないし自己評価も日常的モニタリングに含まれる。
例えば、財務報告に関しては、売掛金の管理を行うために、重要な売掛金について、定期又は随時に、適切な管理者等が担当者の行った残高確認の実施過程と発見された差異の分析・修正作業を監視することがある。この手続は財務情報の正確性及び資産の実在性を確認するために有効であるとともに、不一致の存在が確認された場合には、その修正にとどまらず、販売プロセスの問題点を発見してその改善を促すことにつながり得ると考えられる。
② 独立的評価
日常的モニタリングでは発見できないような経営上の問題がないかを、別の視点から評価するために定期的又は随時に行われるものが独立的評価である。
イ. 経営者による独立的評価
経営者は、組織の代表者として内部統制の整備及び運用に最終的な責任を有しており、この観点から独立的評価を実施することになる。ただし、経営者が直接実施できる活動には限界がある。したがって、通常は、内部監査部門等に適切な指示を行い、その結果を監視することによって独立的評価を遂行することとなる。
ロ. 取締役会による独立的評価
取締役会は内部統制の整備及び運用に係る基本方針を決定する。また、取締役会は取締役の職務の執行を監督する責任を負う。
こうした機能を果たすため、取締役会は、経営者が内部統制を取締役会の決定に従って適切に整備し、運用しているか監視する責務を負っているものと考えられる。
ハ. 監査役又は監査委員会による独立的評価
監査役又は監査委員会は、取締役等の職務の執行を監査する。
監査役又は監査委員会は有効なモニタリングを実施するため、調査を補助する者を使用することがある。この際、監査役又は監査委員会は、調査を補助する者について、調査対象となる業務活動、取締役等からの独立性を確保することが重要である。
ニ. 内部監査部門等による独立的評価
内部監査は、一般に、経営者の直属として設置された内部監査人が、業務活動の遂行に対して独立した立場から、内部統制の整備及び運用の状況を調査し、その改善事項を報告するものである。
③ 内部統制上の問題についての報告
モニタリングを通じて識別された内部統制の不備は、その内容に則して、適切な者に適時に報告されることが必要であり、このための方針及び手続を定めておくことが重要である。
日常的モニタリングにより識別された問題点は、通常、モニタリングを実施した部門において分析され対応が図られることとなるが、同時に、問題点とその対応策を取りまとめて、その上位の管理者等に報告するとともに、必要に応じて、経営者、取締役会、監査役又は監査委員会等にも報告することが求められる。
独立的評価により識別された問題点は、内部監査人によるものについては、経営者が適時に報告を受ける仕組みを確保することが重要であり、必要に応じて、取締役会、監査役又は監査委員会等にも報告することが求められる。取締役会、監査役又は監査委員会による独立的評価の結果は、取締役会で報告され、経営者による適切な対応を求めていくことが重要である。
経営者は、報告された問題点に対して、そのリスクを分類、分析、評価して、適切な対応を選択していく必要がある。
内部統制の不備に係る情報が、非常に広範囲にわたる内部統制の不備の兆候を示していることも多い。そのため、特定の取引又は事象に係る不備に係る報告を受けた経営者は、必要に応じて、さらに広い範囲の調査の実施について検討を指示することが重要である。