3.内部統制の限界
内部統制は、次のような固有の限界を有するため、その目的の達成にとって絶対的なものではないが、各基本的要素が有機的に結びつき、一体となって機能することで、その目的を合理的な範囲で達成しようとするものである。
(1) 内部統制は、判断の誤り、不注意、複数の担当者による共謀によって有効に機能しなくなる場合がある。
(2) 内部統制は、当初想定していなかった組織内外の環境の変化や非定型的な取引等には、必ずしも対応しない場合がある。
(3) 内部統制の整備及び運用に際しては、費用と便益との比較衡量が求められる。
(4) 経営者が不当な目的の為に内部統制を無視ないし無効ならしめることがある。
(1) 内部統制は、判断の誤り、不注意、複数の担当者による共謀によって有効に機能しなくなる場合がある。
(2) 内部統制は、当初想定していなかった組織内外の環境の変化や非定型的な取引等には、必ずしも対応しない場合がある。
(3) 内部統制の整備及び運用に際しては、費用と便益との比較衡量が求められる。
(4) 経営者が不当な目的の為に内部統制を無視ないし無効ならしめることがある。
内部統制の限界とは、適切に整備され、運用されている内部統制であっても、内部統制が本来有する制約のため有効に機能しなくなることがあり、内部統制の目的を常に完全に達成するものとはならない場合があることをいう。
内部統制は、判断の誤り、不注意、複数の担当者による共謀によって有効に機能しなくなる場合がある。しかし、内部統制を整備することにより、判断の誤り、不注意によるリスクは相当程度、低減されるとともに、複数の担当者が共謀して不正を行うことは、相当程度困難なものになる。
また、内部統制は、当初想定していなかった組織内外の環境の変化や非定型的な取引等には、必ずしも対応しない場合がある。しかし、例えば、当初想定していなかった環境の変化や非定型的な取引の発生しやすいプロセスに重点的に知識・経験を有する者を配置するなど、的確に内部統制を整備することによって、当初想定していなかった環境の変化や非定型的な取引に対する対応の範囲は相当程度、拡げることができる。
内部統制は、組織の経営判断において、費用と便益との比較衡量の下で整備及び運用される。組織は、ある内部統制の手続を導入又は維持することの可否を決定する際に、そのための費用と、その手続によるリスクへの対応を図ることから得られる便益とを比較検討する。
さらに、経営者が不当な目的のために内部統制を無視ないし無効ならしめることがある。しかし、経営者が、組織内に適切な全社的又は業務プロセスレベルに係る内部統制を構築していれば、複数の者が当該事実に関与することから、経営者によるこうした行為の実行は相当程度、困難なものになり、結果として、経営者自らの行動にも相応の抑止的な効果をもたらすことが期待できる。
なお、当初想定していなかった組織内外の環境の変化や非定型的な取引等に対して、経営者が既存の内部統制の枠外での対応を行うこと、既存の内部統制の限界を踏まえて、正当な権限を受けた者が経営上の判断により別段の手続を行うことは、内部統制を無視する、又は無効にすることには該当しない。