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(1) 財務報告に係る内部統制の有効性の評価

経営者は、財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要性の観点から必要な範囲について、財務報告に係る内部統制の有効性の評価を行わなければならない。
 また、経営者は、評価に先立って、予め財務報告に係る内部統制の整備及び運用の方針及び手続を定め、それらの状況を記録し保存しておかなければならない。
 なお、財務報告に係る内部統制の有効性の評価は、原則として連結ベースで行うものとする(企業集団全体に関わり連結ベースでの財務報告全体に重要な影響を及ぼす内部統制を以下「全社的な内部統制」という。)。
 (注) 外部に委託した業務の内部統制については評価範囲に含める。

① 連結ベースの評価範囲

 「財務報告に係る内部統制の有効性の評価は、原則として連結ベースで行うものとする」とは、連結財務諸表を構成する有価証券報告書提出会社及び当該会社の子会社並びに関連会社を、財務報告に係る内部統制の評価範囲の決定手続を行う際の対象とすることをいい、次の点に留意するものとする。
イ. 連結対象となる子会社等(組合等を含む。)は、評価範囲を決定する際の対象に含まれる。なお、子会社が上場しており、当該子会社が本基準に基づき内部統制報告書を作成し監査を受けている場合、親会社は、当該子会社の財務報告に係る内部統制の有効性の評価に当たって、当該子会社の財務報告に係る内部統制報告書(内部統制報告書が作成途上である場合における当該子会社からの報告等を含む。)を利用することができる。
ロ. 持分法適用となる関連会社は、評価範囲を決定する際の対象に含まれる。ただし、当該関連会社が本基準に基づき内部統制報告書を作成し監査を受けている場合、又は当該関連会社が他の会社の子会社であって当該関連会社の親会社が本基準に基づき内部統制報告書を作成し監査を受けている場合には、イ.のなお書きに準じて取り扱う。なお、当該関連会社における他の支配株主の存在の有無、当該関連会社への投資持分及び持分法損益の状況、役員(取締役、監査役等)の派遣や兼任の状況などによって、子会社と同様の評価が行えないことが考えられるが、そうした場合には、全社的な内部統制を中心として、当該関連会社への質問書の送付、聞き取りあるいは当該関連会社で作成している報告等の閲覧等適切な方法により評価を行う必要がある。
ハ. 在外子会社等についても、評価範囲を決定する際の対象に含まれる。ただし、当該在外子会社等について、所在地国に適切な内部統制報告制度がある場合には、当該制度を適宜活用することが可能である。また、所在地国に内部統制報告制度がない場合であっても、歴史的、地理的な沿革等から我が国以外の第三国の適切な内部統制報告制度が利用できることが考えられ、そのような場合には、これを適宜活用することが可能である。
② 委託業務の評価
イ. 委託業務の評価の範囲
 委託業務には、例えば、企業が財務諸表の作成の基礎となる取引の承認、実行、計算、集計、記録又は開示事項の作成等の業務を企業集団の外部の専門会社に委託している場合が挙げられる。
 委託業務に関しては、委託者が責任を有しており、委託業務に係る内部統制についても評価の範囲に含まれる。委託業務が、企業の重要な業務プロセスの一部を構成している場合には、経営者は、当該業務を提供している外部の受託会社の業務に関し、その内部統制の有効性を評価しなければならない。
ロ. 委託業務に係る内部統制の評価
 経営者は、委託業務に係る内部統制について、当該受託会社が実施している内部統制の整備及び運用状況を把握し、適切に評価しなければならない。その際には、以下の手続のいずれかにより内部統制の有効性を評価することも考えられる。
 a. サンプリングによる検証
 委託業務結果の報告書と基礎資料との整合性を検証するとともに、委託業務の結果について、一部の項目を企業内で実施して検証する。
 例えば、給与計算業務について、受託会社に委託した給与データの対象人数を受託会社から受領した計算データの件数と、企業において比較するとともに、無作為に抽出したその一部について、企業において検算を実施する。
 b. 受託会社の評価結果の利用
 委託業務に係る内部統制の整備及び運用状況に関しては、経営者は、委託業務に関連する内部統制の評価結果を記載した報告書等を受託会社から入手して、自らの判断により委託業務の評価の代替手段とすることが考えられる。
 その際、経営者は、当該報告書等が十分な証拠を提供しているかどうかを検討しなければならない。