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(2) 全社的な内部統制の評価

 経営者は、全社的な内部統制の整備及び運用状況、並びに、その状況が業務プロセスに係る内部統制に及ぼす影響の程度を評価する。その際、経営者は、組織の内外で発生するリスク等を十分に評価するとともに、財務報告全体に重要な影響を及ぼす事項を十分に検討する。例えば、全社的な会計方針及び財務方針、組織の構築及び運用等に関する経営判断、経営レベルにおける意思決定のプロセス等がこれに該当する。
① 全社的な内部統制
 全社的な内部統制は企業全体に広く影響を及ぼし、企業全体を対象とする内部統制であり、基本的には企業集団全体を対象とする内部統制を意味する。ただし、企業集団内の子会社や事業部等に独特の歴史、慣習、組織構造等が認められ、当該子会社や事業部等を対象とする内部統制を別途評価対象とすることが適切と判断される場合には、個々の子会社や事業部等のみを対象とする全社的な内部統制を評価することもある。その場合、どの子会社や事業部等の単位で内部統制を識別し、評価を実施するかは経営者が財務報告への影響の重要性を勘案して適切に判断する。
〔全社的な内部統制の評価項目〕
 全社的な内部統制の形態は、企業の置かれた環境や事業の特性等によって様々であり、企業ごとに適した内部統制を整備及び運用することが求められるが、各基本的要素ごとに、例えば、参考1(財務報告に係る全社的な内部統制に関する評価項目の例)のような評価項目が考えられる。ただし、必ずしも参考1 の例によらない場合があること及び参考1 の例による場合でも、適宜、加除修正がありうることに留意する。
② 全社的な内部統制の評価方法
 全社的な内部統制を評価するときは、評価対象となる内部統制全体を適切に理解及び分析した上で、必要に応じて関係者への質問や記録の検証などの手続を実施する。
③ 全社的な内部統制と業務プロセスに係る内部統制
 経営者は、全社的な内部統制の評価結果を踏まえ、業務プロセスに係る内部統制を評価するが、全社的な内部統制と業務プロセスに係る内部統制は相互に影響し合い、補完する関係にある。経営者は両者のバランスを適切に考慮した上で内部統制の評価を行うことが求められる。
〔企業の業務の性質等によるバランスの相違〕
企業の行う業務の性質等により、全社的な内部統制と業務プロセスに係る内部統制のどちらに重点を置くかが異なることもある。例えば、組織構造が相対的に簡易な場合には、全社的な内部統制の重要性が高くなることがある。
 一方、社内の規程や方針、手続に準拠して行う業務の割合が高い企業においては、業務プロセスに係る内部統制が相対的に重要となることが考えられる。例えば、多店舗に展開する小売販売業務においては、業務の手続を定型化する必要があり、販売規程、現金取扱規程、従業員教育規程、例外事項対応規程などの多くの業務プロセスに係る内部統制の手引きが作成されることになる。
 経営者は、全社的な内部統制の評価結果を踏まえて、業務プロセスに係る内部統制の評価の範囲、方法等を決定する。例えば、全社的な内部統制の評価結果が有効でない場合には、当該内部統制の影響を受ける業務プロセスに係る内部統制の評価について、評価範囲の拡大や評価手続を追加するなどの措置が必要となる。一方、全社的な内部統制の評価結果が有効である場合については、業務プロセスに係る内部統制の評価に際して、サンプリングの範囲を縮小するなど簡易な評価手続を取り、又は重要性等を勘案し、評価範囲の一部について、一定の複数会計期間ごとに評価の対象とすることが考えられる。
 なお、例えば、上記①に記載のとおり、企業集団内の子会社や事業部等の特性等にかんがみ、その重要性を勘案して、個々の子会社や事業部等のみを対象とする全社的な内部統制の評価が行われた場合には、その評価結果を踏まえて、当該子会社や事業部等に係る業務プロセスにつき、評価の範囲、方法等を調整することがありうることに留意する。