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(1) 全社的な内部統制の評価の検討

 監査人は、経営者による全社的な内部統制の評価の妥当性について検討する。監査人は、この検討に当たって、取締役会、監査役又は監査委員会、内部監査等、経営レベルにおける内部統制の整備及び運用状況について十分に考慮しなければならない。
 監査人は、全社的な内部統制の概要を理解し、例えば、「Ⅱ 財務報告に係る内部統制の評価及び報告」参考1(財務報告に係る全社的な内部統制に関する評価項目の例)に示された評価項目の例に留意して、経営者の評価の妥当性について検討する。
① 全社的な内部統制の整備及び運用状況の検討
 監査人は、全社的な内部統制の整備状況を検討するに当たって、経営者が採用する評価項目が、例えば、前述の参考1(財務報告に係る全社的な内部統制に関する評価項目の例)に示された評価項目の例に照らして、適切なものとなっているか確認する。その際、監査人は、「Ⅱ 財務報告に係る内部統制の評価及び報告」3.(7)イ.ロ.に記載の内部統制の記録の閲覧や経営者等に対する質問等を通じて、各評価項目についての経営者の評価結果、経営者が当該評価結果を得るに至った根拠等を確認し、経営者の行った評価結果の適切性を判断する。
 なお、統制環境に係るいくつかの項目は、内部統制の運用状況に関する記録が作成されないケースもある。その場合、監査人は、関係者への質問や観察等により、運用状況を確認する。
② 取締役会並びに監査役又は監査委員会の監視機能の検討
 有価証券報告書等の財務報告書類については、最終的には経営者が責任を持って作成し公表することになるが、公表に至る過程での取締役会や監査役又は監査委員会の監視機能が適切な情報開示に重要な役割を果たすことから、全社的な内部統制の整備及び運用の状況の検討に当たっては、取締役会や監査役又は監査委員会における監視機能について、例えば、以下の点に留意して確認することが重要となる。
イ. 取締役会や監査役又は監査委員会の責任が記載された規定が存在しているか。
ロ. 取締役会や監査役又は監査委員会の開催実績の記録や議事録等が存在しているか。
ハ. 取締役会や監査役又は監査委員会の構成員は、内部統制の整備及び運用に関するモニタリングを実施するため、経営者を適切に監督・監視する責任を理解した上で、それを適切に実行しているか。
ニ. 監査役又は監査委員会は、内部監査人及び監査人と適切な連携を図っているか。
 ただし、上記①及び②に関して、監査人は、財務諸表監査の実施過程において、一定の監査証拠を入手しているのが一般的と考えられ、その場合には、その利用が可能であることに留意する。
③ 全社的な内部統制の不備の検討
 監査人は、全社的な内部統制に不備が認められる場合には、業務プロセスに係る内部統制に及ぼす影響をも含め、財務報告に重要な影響を及ぼす可能性について慎重に検討し、経営者の評価が妥当であるか確認する。
 全社的な内部統制の不備が重要な欠陥となるかどうかについては、「Ⅱ 財務報告に係る内部統制の評価及び報告」3.(4)① 全社的な内部統制の有効性の判断に記載した事項を考慮して判断する。